「生活保護を受けたいけれど、自分が対象になるのかわからない」
「家族に迷惑がかかりそうで申請をためらっている」
このような不安を抱えている方は少なくありません。
実際には、
・働いていても利用できる場合がある
・年金を受給していても対象になる場合がある
・家族の援助がなくても利用できる場合がある
など、誤解が生じやすい制度です。
この記事では、生活保護の申請を考えている方へ向けて、事前に知っておきたい7つのポイントを医療ソーシャルワーカーの視点からわかりやすく解説します。
生活保護は誰もが利用する可能性があるセーフティネット。
しっかりとした知識を習得していきましょう!

結論
生活保護について知っておきたいポイントは次の7つです。
- 相談しただけで生活保護になることはない
- 不足分を補う制度
- 資産活用
- 車
- 扶養照会
- 世帯単位
- 申請から支給までの流れ
① 相談しただけで生活保護になることはない
生活保護は「申請保護の原則」があり、本人が申請の意思を示さなければ開始されません。
つまり、
- 制度の説明を聞く、情報収集だけ
- 今の状況で利用できるか確認するだけ
でも問題ありません。
「相談したら生活保護にされる」ということはありません。
自分や親族の状況から、生活保護が選択肢に入るかを聞くだけでも問題ありません。
逆に言うと、申請したい意向が固まっている場合、「相談ではなく申請に来ました!」と意思表示することが大事になります。
生活保護は、本人・家族が申請の意思を示すことから始まります。
② 生活保護は不足分を補う制度

生活保護費は、
最低生活費 − 収入 で計算されます。
そのため、最低生活費に満たない基準の
- パート収入がある
- 年金を受給している
- 障害年金を受給している
場合は利用できる可能性があります。
「収入があるから無理」と決めつける必要はありません。
③ 預貯金やNISAなどの資産は活用が必要
生活保護は最後のセーフティーネットであるため、
利用できる資産は先に生活費へ充てることが求められます。
対象となる主な資産は、
- 預貯金
- 土地や持ち家
- 株式、投資信託、NISA
- 解約返戻金のある保険
などです。
「NISAは非課税だから対象外」と話される方もいますが、そんな訳はありません。
土地・家に関しては、資産価値などの基準で認められるケースがありますが、稀です。
基本は現金にして、生活費に充てる必要があります。
④ 車は原則保有できない
生活保護では車の所有は原則認められていません。
しかし、
- 障害や疾病により通院が必要
- 公共交通機関が極端に少ない地域
などの場合は例外的に認められることがあります。
保有が認められるかどうかは厚生労働省の基準に基づいて判断されますが、個別事情によって判断が異なります。
車は所持するだけで税金がかかります。税金がかかる車を、税金から支給される生活保護で維持するのは、やはりハードルが高いと言わざるを得ません。
⑤ 扶養照会はあるが家族の援助は義務ではない

「生活保護を申請すると家族に迷惑がかかる」
という不安もよく聞かれます。
確かに福祉事務所から家族へ扶養照会が行われることがあります。
しかし、
- 援助する義務はない
- 援助できないと回答してよい
- 扶養照会への回答内容だけで生活保護の可否は決まらない
という点は知っておきましょう。
DVや虐待など特別な事情がある場合は、照会を行わない運用もあります。
生活保護制度では、扶養義務者からの援助が原則として優先されますが、援助を強制されるわけではなく、経済状況や特別な事情が考慮されます。扶養義務者の範囲は直系血族や兄弟姉妹、配偶者が中心です。
自分に扶養照会が届いた場合、上記の内容を基に返信しましょう。
また、自身の申請で家族に扶養照会が送られる場合、特別な事情があれば、福祉事務所と事前に相談しておきましょう。
⑥ 生活保護は世帯単位で審査される
生活保護は個人ではなく「世帯」で審査されます。
同居している家族の、
- 収入(給与、年金など)
- 資産(預貯金、投資信託、生命保険など)
などが審査の対象になります。別居している家族の収入は、原則として計算対象になりません。
「親は就労していて資産はある。同居の息子が無収入。息子の分だけ生活保護を申請したい」
というような申請は通りません
子どもだけの生活保護を考える場合は「別居して世帯を抜ける」などの対応が必要になります。一緒に・生計を共にしている家族が、別々に申請することは出来ないと覚えておきましょう。
⑦ 申請から支給までの流れ

生活保護の一般的な流れは次のとおりです。
- 福祉事務所へ相談
- 申請書提出
- 家庭訪問・面談
- 資産や収入の調査
- 保護決定
- 支給開始
通常は14日~30日程度で結果が通知されます。
住む場所が無いなど緊急性が高い場合は、早期に支援が開始されることもあります。
資産や収入の調査ですが、〇〇万円以下のような数字の決まりはありません。
入院中の患者さんの申請に立ち会ったことが何度かありますが
・10万円の所持金で通った
・8万円の所持金で申請が通らなかった
両方を経験しています。
申請が通らなかった時は「ダメでした」の返事だけでは終わらせてはいけません。
「何が問題だったのか」・「その問題を解消できれば通るのか」を細かく聞きます。
生活保護が通らないと立ち行かない場合、安易には引き下がりません。
福祉事務所の職員さんから、こと細かく聞きましょう。
まとめ
- 特別な人だけの制度ではない
- 働きながら利用できる場合がある
- 年金受給者でも対象になることがある
- 家族の援助は義務ではない
- 生活を立て直すための制度
- 個人ではなく、世帯単位での申請になる
- 申請しなければ始まらない
MSWとして感じること
病院で相談を受ける中で感じるのは、
生活保護を受けられる可能性があるにもかかわらず、
「迷惑をかけたくない」
「まだ頑張れる」
と相談が遅れてしまう方が少なくないことです。
生活が行き詰まる前に相談することが、結果的に選択肢を増やすことにつながります。
「生活が苦しい」「貯金が尽きそうだけど働けない」「今後の見通しが立たない」と感じているなら、一人で抱え込まず福祉事務所へ相談してみてください。
相談することは決して恥ずかしいことではありません。
相談することにより、生活保護以外の選択肢が生まれるかもしれません。
関連記事
生活や医療、お金の不安について知っておくことで、困ったときに利用できる制度の選択肢が広がります。


制度を知ることは、自分や家族を守ることにつながります。ぜひ他の記事もあわせてご覧ください。


コメント