「親が退院することになったけれど、この先どうしたらいい?」
「最近物忘れが増えてきたので心配」
「介護サービスを使いたいけれど、何から始めればいいかわからない」
そんな時に最初に検討する制度が「介護保険」です。
介護保険を利用できれば、訪問介護やデイサービス、福祉用具レンタルなど、さまざまな支援を受けることができます。
しかし実際には、
- どこで申請するの?
- 何を準備すればいいの?
- 認定までどれくらいかかるの?
と悩む方が少なくありません。
この記事では、医療ソーシャルワーカーの視点から、介護保険申請の流れと必要な準備をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
✓ 介護保険を申請できる人
✓ 申請場所
✓ 必要書類
✓ 認定までの流れ
✓ サービス利用までの流れ
【結論】
- 申請は第1号被保険者、第2号被保険者で要件が分かれる
第1号被保険者:65歳以上
第2号被保険者:40歳~64歳まで、特定の疾患、医療保険加入者 - 申請場所は役所、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所など
- 申請に必要なもの 第1号:介護保険被保険者証 第2号:健康保険証
- 申請に必要な情報 主治医、調査場所など
- 申請 → 調査+認定調査 → 認定
- 認定からサービス利用までの流れ
- 早めの申請が必要です!
【介護保険とは何か】
介護保険は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるための社会保険制度です。
40歳以上の方は強制加入。介護保険の財源は、国や自治体の税金と加入者が納める保険料です。
申請の結果、要介護・要支援の認定を受けることが出来れば、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルなど、さまざまなサービスを利用できます。
① 申請は第1号被保険者、第2号被保険者で要件が分かれる
介護保険は「いつでも」「誰でも」申請が出来る訳ではありません。
〇 第1号被保険者
65歳以上であれば申請が可能です。
〇 第2号被保険者
保険料を納付している40歳~64歳かつ、末期がんや脳血管疾患、若年性認知症など、国が定める16種類の特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合に申請可能。
② 申請はどこで出来る?
介護保険の申請は、市区町村の介護保険担当窓口で行います。
また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所でも申請の相談や代行申請が可能です。
どこに申請に行こう?と考えなくても大丈夫です。
悩んだら「地域包括支援センター」へ申請に行きましょう。
③ 申請に必要なもの
第1号被保険者:介護保険被保険者証
紛失していても大丈夫です。紛失届を記載すれば、無くても申請が出来ます。
第2号被保険者:健康保険証
健康保険証のコピーは必須です。必ず準備してください。
共通:マイナンバー
申請書にマイナンバーの個人番号を記載する欄があります。
経験上、無くても申請は可能です。
④ 申請に必要な情報
申請時には、本人の基本情報に加えて、かかりつけ医の情報や現在の生活状況、困っていることなどを記載する必要があります。
例えば、
- 入浴時に転倒しそうになる
- 買い物に行けない
- 薬の管理が難しい
- 一人で外出できない など
実際の生活場面を伝えることで、認定調査や今後の支援につながりやすくなります。
「どのような場面で介護が必要と感じるか」は、認定調査の重要な判断材料です。
あらかじめ情報を纏めておきましょう。
⑤ 申請から認定までのスケジュール

- 介護保険の申請書を提出
- 申請後、1~2週間以内に本人へ認定調査が入る
- 並行して主治医が「主治医意見書」を記載
認定調査結果と主治医意見書をもとに、コンピュータ判定と介護認定審査会で判定 - 介護保険の結果が届く
介護保険の認定は、申請から1ヵ月で出すという国の基本ルールがありますが、
どれだけ手続きがスムーズにいっても、1ヵ月半はかかります。
認定調査が体調不良などで遅れる、主治医意見書の記載が医師が忙しくて遅れる等あれば、認定まで更に時間を要します。
⑥ 認定後、サービス利用までの流れ

介護保険の結果に応じて介護サービスの利用が始まります。
「要支援1~2」の認定が降りた(軽度)
地域包括支援センターのケアマネジャーへ相談し、利用するサービスを相談する。
「要介護1~5」の認定が降りた(重度)
居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談し、利用するサービスを相談する。
要支援は地域包括支援センター(住所によって地域の窓口が決まっている)
要介護は居宅介護支援事業所(事業所が受けてくれるなら、どこを選んでも良い)
認定結果によって、相談する窓口が変わることを覚えておきましょう。
結果が出る → 地域包括支援センターor居宅介護支援事業所へ相談 → ケアマネジャーがケアプランを作成 → サービス開始の流れです
※ 非該当
介護保険は必ず認定が出る訳ではありません。
「元気過ぎて認定が降りない!」というケースがあります。
第1号の場合、65歳以上であれば申請は出来ます。しかし65歳で趣味がトライアスロンの方が申請しても、まず「非該当」になります。ただ、非該当でも利用できる地域のサービス等はあります。認定が降りなくても困ったことがあれば、地域包括支援センターへ相談してみましょう。
⑦ 早めの申請が大切

介護保険は申請したその日からサービスを利用できる制度ではありません。
認定調査や主治医意見書の作成が必要なため、実際にサービス利用が始まるまで1か月半以上かかることも珍しくありません。
「もっと早く申請しておけばよかった」
という声を家族から聞くことがあります。
特に退院後の生活に不安がある場合は、介護が必要か迷う段階でも、一度地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。
申請から認定を受けるまで、一切のお金はかかりません。
認定を受けても、サービスは利用せずに生活している方も少なくありません。
ワンポイントアドバイス
※ 申請は本人以外でも可能です。
家族や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などが代理申請できる場合があります。
本人が窓口へ行けない場合でも、まずは相談してみましょう。
【次回予告】
介護保険は申請から認定まで、いくつかの段階を踏みます。
認定調査ではどのようなことを聞かれるのか。
主治医意見書はどのように作成されるのか。
家族は何を伝えるべきなのか。
実は、同じ状態でも伝え方によって認定調査で把握される内容が変わることがあります。
第2回では、
「認定調査で見られるポイント」
「主治医意見書の重要性」
「申請時に家族が気を付けたい注意点」
を医療ソーシャルワーカーの視点から詳しく解説します。


コメント