【障害年金とは?】第2回

医療制度

障害年金で重要な「初診日」と申請に必要な書類を知ろう

前回は、障害年金がどのような制度なのか、どのような場合に対象となるのかについて説明しました。

「もしかしたら、自分も障害年金を受け取れるかもしれない」

そう思って、障害年金について調べ始めた方もいるのではないでしょうか。

しかし、実際に自分が障害年金を請求できるか確認しようとすると、

  • 障害年金の「初診日」って何?
  • 今通院している病院が初診日になるの?
  • 何年も前のことなので、初診日が分からない
  • 申請にはどんな書類が必要なの?
  • 医師に何を書いてもらえばいいの?

など、分からないことが出てきます。

障害年金を請求するうえで、最初に確認してほしいことの一つが「初診日」です。

初診日は、単に「最初に病院へ行った日」というだけではありません。

どの年金制度が対象になるのか、保険料の納付要件を満たしているか、障害の状態をいつの時点で確認するのかなど、障害年金の請求に関わる重要な日です。

そこで第2回では、障害年金を調べ始めた方がまず確認しておきたい**「初診日」**について、できるだけ分かりやすく説明します。

あわせて、実際に障害年金を請求するときに必要となる主な書類についても紹介します。


初診日のポイント

障害年金の請求を考えるとき、まず確認してほしいのが「初診日」です。

覚えておきたいポイントは次の3つです。

  1. 初診日とは、その病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日
  2. 初診日に加入していた年金制度によって、請求できる障害年金の種類が変わる
  3. 保険料の納付要件を確認するときも、初診日が基準になる

病院を何度も変わっている場合や、最初に受診した病院が分からない・閉院している場合は、初診日の確認に時間や手間がかかることがあります。

そのため、障害年金を考え始めたら、まずは「自分の場合の初診日はいつなのか」を確認することから始めましょう。


① 最初に確認したい「初診日」とは?

障害年金でいう初診日とは、

その病気やケガで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日

を指します。

A病院 → B病院 → C病院

上記の順番で受診した場合、
その病気について最初に診療を受けたA病院の初回の受診日が初診日になります。

「今の病院に初めて行った日」と「障害年金でいう初診日」は同じとは限りません。

「A病院」の診察では何も分からず、紹介状を貰って「B病院」へ受診した。

この場合でも初診日は、「A病院を最初に受診した日付」です。


② なぜ「初診日」が重要なのか?

障害年金の手続きを進めるうえで重要な基準になるからです。

特に関連性が高いのが、次の3つです。

1.どの障害年金が申請できるのか

「現在どの年金に加入しているか」ではなく、「初診日の時にどの年金制度に加入していたか」が重要になります。

  • 障害基礎年金(初診日に国民年金に加入していた)
  • 障害厚生年金(初診日に国民年金だけでなく、厚生年金にも加入していた)

2.保険料の納付要件を確認する基準になる

障害年金は、障害の状態が該当するだけでは給付を受けることができません。

原則として、初診日の前日における年金保険料の納付状況について、一定の要件を満たしている必要があります。

そのため、初診日が分からないと、保険料の納付要件を確認することができません。


3.障害認定日を確認する基準になる

障害年金では、原則として初診日から1年6か月を経過した日を「障害認定日」とします。

障害認定日とは、障害の状態を確認し、障害年金の受給要件に該当するかを判断する基準となる日です。

ただし、すべてのケースで「初診日から1年6か月後」が障害認定日になるわけではありません。

病気やけがの状態によっては、1年6か月を待たずに障害認定日とされる場合があります。

「1年6か月」より前に障害認定日となる主なケース

例えば、次のような場合です。

  1. 人工透析療法を行っている場合
    透析を初めて受けた日から起算して、3か月を経過した日
  2. 人工骨頭または人工関節を挿入・置換した場合
    人工骨頭または人工関節を挿入・置換した日
  3. 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合
    装着した日
  4. 人工肛門の造設、尿路変更術を行った場合
    造設または手術を行った日から起算して、6か月を経過した日
  5. 新膀胱を造設した場合
    造設した日
  6. 切断または離断による肢体の障害の場合
    原則として、切断または離断した日
    ※障害手当金の場合は、創面が治癒した日
  7. 喉頭を全摘出した場合
    全摘出した日
  8. 在宅酸素療法を行っている場合
    在宅酸素療法を開始した日

このように、障害の状態や治療の内容によっては、初診日から1年6か月を待たずに障害認定日となる場合があります。

そのため、

「障害年金は、初診日から必ず1年6か月待たなければならない」

と考えてしまわないことが大切です。

自分の場合の障害認定日がいつになるのかは、病気やけがの種類、治療の状況などによって異なります。

障害年金を考えている場合は、初診日を確認したうえで、自分の場合の障害認定日がいつになるのかを年金事務所などで確認することをおすすめします。

障害認定日を基準として、障害年金を請求できる場合もあります。

つまり、障害年金を考えるときには、

「初診日はいつなのか」
↓
「保険料の納付要件を満たしているか」
↓
「障害認定日はいつなのか」

という順番で確認していくことが重要です。


③ 初診日はどうやって確認する?

まずは、最初に受診した医療機関を思い出すことから始めましょう。

最初に受診した病院を覚えていて、その病院が現在もある場合は、その医療機関に初診日を確認するための書類作成を依頼します。 

遠方に引っ越している場合でも、郵送での手続きに対応している医療機関があります。まずは医療機関に確認してみましょう。 

  • 最初に受診した病院を全く覚えていない
  • 最初に受診した病院が閉院している

これらの場合は、対策が必要です。

まずは「覚えていない場合」。
以下を参考に記憶を辿ってください。

  • お薬手帳
  • 診察券
  • 紹介状、診断書
  • 医療機関の領収書
  • 家族の記憶、自身の日記
  • 現時点で通院している病院のカルテ

これらに手掛かりが残っていることがあります。

最初に受診した病院が閉院しているなど、初診日の確認が難しい場合もあります。

その場合は、現在受診している医療機関や年金事務所に相談し、手元にある資料を整理しながら確認していきましょう。

診察券やお薬手帳、紹介状、診断書、医療機関の領収書などが、初診日を確認する手掛かりになることがあります。

初診日が分からないからといって、すぐに諦める必要はありません。


④ 障害年金の請求にはどんな書類が必要?

障害年金を請求するとき必要な書類を紹介します。

主な書類

  • 年金請求書(申請者が記載)
  • 診断書(現時点の主治医が記載)
  • 病歴・就労状況等申立書(申請者が記載)
  • 受診状況等証明書(初診日を証明する・病院が記載)
  • 本人確認書類
  • 年金番号が分かるもの(年金手帳など)
  • 住民票か戸籍謄本
  • 請求者名義の金融機関の通帳など

ただし、すべての人が同じ書類を提出するわけではありません。
家族構成や請求する年金の種類、初診日の証明方法などによって、必要な書類が変わる場合があります。

「書類を全部そろえてから相談する必要はありません」 

まずは年金事務所へ相談して、自分の場合に必要な書類を確認する

ことをおすすめします。


⑤ 特に重要な3つの書類

障害年金を請求するときに知っておきたい書類が3つあります。

① 受診状況等証明書

初診日を確認するための書類です。

原則として、初診時の医療機関に作成してもらいます。

現在診てもらっている医療機関と初診時の医療機関が違う場合などに必要になることがあります。


② 診断書

現在の障害の状態などを医師に記載してもらう書類です。

障害年金では、病名だけではなく、日常生活や仕事などにどのような支障があるのかが重要になります。

診断書には、障害の状態を判断するための重要な情報が記載されます。

日常生活や仕事で困っていることは、診察の際に具体的に医師へ伝えておきましょう。

診断書には、障害の状態を判断するための重要な情報が記載されます。

医師も知らないことは書けません。


③ 病歴・就労状況等申立書

これまでの病気やけがの経過、治療状況、仕事や日常生活の状況などを、本人または代理人が記載する書類です。

診断書だけでは伝わりにくい、

「これまでどのような経過をたどってきたのか」

「生活や仕事にどのような影響があったのか」

などを補足する役割があります。

自分の生活状況を振り返りながら、できるだけ具体的に記載することが重要です。


まとめ|障害年金は「初診日」の確認から始めよう

今回の復習です!

① 初診日を確認する

その病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

② 初診日の年金加入状況を確認する

初診日に加入していた年金制度によって、障害基礎年金・障害厚生年金のどちらを請求するのかが変わります。

③ 保険料の納付要件を確認する

初診日の前日時点での保険料納付状況が重要になります。

④ 必要な書類を確認する

診断書、病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書など、複数の書類が必要になります。

⑤ 初診日が分からなくても諦めない

古い病院の記録が残っていない場合などでも、別の資料によって初診日を確認できる場合があります。


障害年金の手続きは、

「初診日を確認する」
↓
「保険料の納付要件を確認する」
↓
「障害の状態を確認する」
↓
「必要な書類を準備する」

というように、一つずつ確認していくことが大切です。

第2回では、特に重要な「初診日」と、障害年金の請求に必要となる書類について説明しました。

次回は、医療ソーシャルワーカーの目線と経験から、

申請時の注意点、他制度との兼ね合い、申請後の流れを説明していきます。

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